始まりの夜
カランカラン
バーの入口のベルが揺れる。
来たのは俺が待っていた奴。
「やあ裕紀(ユウキ)。来てたんだね」
「当然だろ。俺は夜飲む酒はここって決めてんだよ」
確かにそうだね、と笑って奴−−−鈴(リン)は俺の隣に座った。
「マスター、いつものちょうだい」
鈴が注文したのはいつもの、オレンジジュース。
−−−こいつは酒が飲めない。
なぜなら・・・
未成年だからだ。
鈴は華の女子高生。
高校が遠いということで一人暮しをしている。まだピチピチの17歳。
ちなみに俺は21歳、大学生・・・以上。
鈴は半年ぐらい前からバーに来るようになった。鈴いわく、興味があったらしい。そこで俺と仲良くなり、今に至る。
「僕ちょっとトイレ行ってくるね」
鈴が席を立った。
きた、と俺は思った。
マスターは他の客と話している。
今しかない。
俺はポケットから小さな瓶を出すと、その中の透明な液体を鈴の飲みかけのオレンジジュースへと入れた。
入れたのは、媚薬。無味無臭の速効性。
前からずっと、鈴を抱きたいと思っていた。恋とは違う、別の感情。
「ただいま」
鈴が戻ってきた。
そして−−−−飲んだ。あのオレンジジュースを。
数分で変化があった。鈴の目が少し潤み、顔が赤い。
「鈴大丈夫か?熱でもあるのか?」
自分で仕組んだくせに俺は鈴の額に手を置いた。
熱い。
「わかんない・・」
声は弱い。
「立てるか?マスター、俺こいつ送るわ」
一緒に席を立つ。
すべては、計算通り。
意識が少し朦朧とする鈴を支え、俺のマンションへとやってきた。
鈴をベッドに寝かすと、俺は冷蔵庫から氷を持ってきた。
準備、完了。
荒い息の鈴の胸をおもむろに揉む。
「!?」
鈴の体がびくっと震えた。
「ゆう、き?」
潤んだ目。止まる気は、ない。
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