少年群像
汗で汚れたジャージを入れたスポーツバックを肩に下げ、目の前の黒く延びた影を追う。
疲れた足取りで部室に向かい、こちらに歩いてくる同じ陸部の仲間を追い抜き、たった今校門を曲がったその影に声をかけた。
「柚木さん!」
ピクリッ、と一瞬止まる。
「…」
向けられた視線にどきりとし、耳が熱くなる。
「…あの、…体、大丈夫ですか?」
「…」
我ながら間の抜けた台詞だと思う。
保健室を追い出され、授業中は勿論部活の間さえも頭から離れなかった人なのに、いざとなると何から話したらよいのかわからない。頭の中が真っ白になる。相手の沈黙が今の俺がどんなに滑稽かを顕著にあらわしていた。
「…っか、鞄持ちます」「いい……、っ?!」
柚木さんが言うより早く鞄を取り上げてしまった。
「…」
完全に呆れた様子で小さく溜息をつく。
「…何?」
「え?」
「家、くる?ヤル気ならおいで。」
……
余りにも呆気らかんとした物言いに何と言っていいのかわからず言葉を失う。
でも…
胸の奥に突き刺さる感覚
(…まるで心の奥を見透かされてるみたいだ…)
心配している反面、俺はまたこの人を欲しいと思っているのか…。
我ながら浅ましい心だと思う。
疲れた足取りで部室に向かい、こちらに歩いてくる同じ陸部の仲間を追い抜き、たった今校門を曲がったその影に声をかけた。
「柚木さん!」
ピクリッ、と一瞬止まる。
「…」
向けられた視線にどきりとし、耳が熱くなる。
「…あの、…体、大丈夫ですか?」
「…」
我ながら間の抜けた台詞だと思う。
保健室を追い出され、授業中は勿論部活の間さえも頭から離れなかった人なのに、いざとなると何から話したらよいのかわからない。頭の中が真っ白になる。相手の沈黙が今の俺がどんなに滑稽かを顕著にあらわしていた。
「…っか、鞄持ちます」「いい……、っ?!」
柚木さんが言うより早く鞄を取り上げてしまった。
「…」
完全に呆れた様子で小さく溜息をつく。
「…何?」
「え?」
「家、くる?ヤル気ならおいで。」
……
余りにも呆気らかんとした物言いに何と言っていいのかわからず言葉を失う。
でも…
胸の奥に突き刺さる感覚
(…まるで心の奥を見透かされてるみたいだ…)
心配している反面、俺はまたこの人を欲しいと思っているのか…。
我ながら浅ましい心だと思う。
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