公園
私が小学4年生の時、その出来事が怒った。恐怖・戸惑い・快楽へと導かれるままに…。夏休み、両親が共働きで帰ってくるのは夜7時過ぎ、休日以外は家には誰もいない。友達は旅行や両親の実家に帰省、毎日私は1人で近くの公園で遊んでいました。ある日、いつものように公園で遊んでいると1人の男が話しかけて来たのです。年は10代後半から20代前半。『いつも1人で遊んでるね、お兄ちゃんが一緒に遊んであげようか?』 笑顔と言うよりも、ニヤついた表情で。いつも親や先生から、“知らない人にはついていかない”と言われていた私は怯えながらも「1人で大丈夫」と、そっぽを向きました。すると、その男はポケットの中からある物を取り出して私に見せつけたのです。それは、当時流行っていたテレビアニメの主人公が変身する際に使うコンパクトでした。親にねだったけど買ってもらえなかったコンパクト、友達はみんな持っていて私だけが持っていなかったコンパクト。それを、男が私に見せつけている。『これ、あげるよ』と私の目の前でチラチラさせている。『お兄ちゃんと遊んでくれるなら、これは君のもの』と。私は、両親や先生の言葉よりも見知らぬ男が持っているコンパクトを選んだ。恐る恐る手を出し、男からコンパクトを受け取った。すると男は『今日から君と僕は友達だよ』そう言って私の手をとりブランコへと向かった。男は私をブランコに乗らせると、ゆっくりと背中を押してくれた。その時、私は思った。「この人は悪い人なんかじゃない、イイ人なんだ」と。これが大きな間違いだったのだ。そして、これが男の作戦であった。その日は何事もなく、帰り際に『また明日、この公園で待ってるからね』と男に言われ、コンパクトを貰った嬉しさと、これからは1人じゃないという嬉しさで、飛びっきりの笑顔を男に見せた。
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