それでも愛したい 2
「涼」
小さいが通った声が昼休みの廊下に澄み渡った。
「スズ。今日、家庭科実習じゃ…」
「私クッキーあんまり好きじゃないから…これ」
涼香は手に大事そうに抱えていたピンクの三角巾から実習で焼いたクッキーを涼に見せた。
「涼って味覚は子供だから。大好きでしょ?」
涼がバカにされていることも知らずクッキーに見とれていたので涼香は思わず笑った。
「家に帰ってから食べなよ」
「まさかスズからこんな有り難いプレゼント貰えるなんて…」
「大げさだよ」
涼香は前髪を指でなでおろした。
「照れなくて良いから…あ、これ、ありがとうな」
涼香はニッコリして、まだ友達の班に配ってないからと、戻っていった。
「またアネキかい?涼」
「ジュンさん」
去年、留年したらしく同学年だが年齢は一つ上の鬼石純菜(オニシ ジュンナ)が教室から出てきた。
二人を姉弟と思っているらしいが、実は相当頭がキレる、優しい姉御肌で、付き合っていることは気づかれていると、涼は思っていた。
「アネキからバレンタインとは、仲むつまじいことで」
「イヤだな、分かってるクセに」
「ま、せいぜいお幸せに。アタシも昔の仲間から実習の¨おこぼれ¨貰って来ようかな」
「昔って…去年でしょ」
「針谷涼香か、あんまり目立たなかったけど、気取らない、良いヤツだよ。大事にしな」
「はい、分かってます」
二人の関係に感づいたのは光一も含め校内で二人目だ。
ささやかな恋。
こんな当たり前の時間が今日、崩壊することを、知る者はまだいない。
小さいが通った声が昼休みの廊下に澄み渡った。
「スズ。今日、家庭科実習じゃ…」
「私クッキーあんまり好きじゃないから…これ」
涼香は手に大事そうに抱えていたピンクの三角巾から実習で焼いたクッキーを涼に見せた。
「涼って味覚は子供だから。大好きでしょ?」
涼がバカにされていることも知らずクッキーに見とれていたので涼香は思わず笑った。
「家に帰ってから食べなよ」
「まさかスズからこんな有り難いプレゼント貰えるなんて…」
「大げさだよ」
涼香は前髪を指でなでおろした。
「照れなくて良いから…あ、これ、ありがとうな」
涼香はニッコリして、まだ友達の班に配ってないからと、戻っていった。
「またアネキかい?涼」
「ジュンさん」
去年、留年したらしく同学年だが年齢は一つ上の鬼石純菜(オニシ ジュンナ)が教室から出てきた。
二人を姉弟と思っているらしいが、実は相当頭がキレる、優しい姉御肌で、付き合っていることは気づかれていると、涼は思っていた。
「アネキからバレンタインとは、仲むつまじいことで」
「イヤだな、分かってるクセに」
「ま、せいぜいお幸せに。アタシも昔の仲間から実習の¨おこぼれ¨貰って来ようかな」
「昔って…去年でしょ」
「針谷涼香か、あんまり目立たなかったけど、気取らない、良いヤツだよ。大事にしな」
「はい、分かってます」
二人の関係に感づいたのは光一も含め校内で二人目だ。
ささやかな恋。
こんな当たり前の時間が今日、崩壊することを、知る者はまだいない。
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