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それでも愛したい 10

[14465]  2008-02-14投稿
苗字もクラスもなにひとつ変わらない。
自宅が涼香の家になるってだけだ。
母親のことは、割り切った。

だが……。


「おやすみ……」


「スズ…」


暗がりの中声が行き交う。

涼の分のベッドがまだ引っ越し中だったため、やむを得ず二人は一緒に寝ていた。

「なぁスズ…」

「…ん、なに?」

「俺たちって、付き合ってるよな…」

しばらく涼香は黙ってしまったが、意を決したようにため息を洩らした。
涼の方を向いた涼香はまた泣きそうになっていた。

「私ね…お父……さんと、お母さんにはまだ……隠してるの」

涼香は死に別れる前のような痛々しい瞳で見つめ、優しく涼の頬を手で包んだ。


「……涼は、私のこと好き?」

「この前言ったろ。俺たち、お互いもっと好きになれるって」

涼香の目から一粒、涙がおちた。

「そっか……」

涼香は涼に優しくキスをして、また何度も味わうようにキスした。

「…涼……!……あのね……近親…相姦…て言うの……!…姉弟で、そういうことは……ダメなんだよ………」

泣き漏れる声が静かに響く。

「わ…わかってるって……そういうことは我慢する…だけど、この関係だけは……」


またキスが施される。


「今夜で終わろう、私たち」


「嫌だ」

「お互いもっと好きになってしまったら、求めるだけになるんだよ…?そんなの…そんなのって悲しいよ?」

切ない涼の瞳から逃げるように涼香は涼の体をきつく抱き締めた。

「お願い……!!カラダを求めることだけはしないで……!悲しすぎるよ…涼」

「スズ……」

涼から漏れる吐息が涼香を狂わせる。
ここで自分がしっかりせねば。取り返しがつかなくなる。

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