恋するアナウンサー?
「安心なんか出来ない!!お願いだから宏樹ずっと側にいてぇ!!」冷静沈着なあの真澄が、ヒステリックに泣き叫んで僕から離れようとしなかった。
街中の炎と瓦礫の山と死臭…にパニックを起こすのは普通の精神の持ち主なら当然だと思う。
そして…僕は、異常な精神の持ち主だった。愛する女の心配よりもあの惨状を楽しんでいたのだ。
「これでも僕は、ジャーナリストの端くれだから、この状況をほっとくことは出来ない!」と、必死にしがみつく真澄を振り払い、偉そうな言葉を巧みに羅列して彼女や看護婦らを騙して系列のTV局の応援に駆けつけたのだった。
…魂に悪魔が降臨した瞬間でもあった。TVカメラの前に立つと、今にも泣き出しそうな顔をして、声も震わせて、燃え盛る神戸市内の惨状を報告し続けた。
カメラの前に立つ度に僕の心は弾み、ブルブルと鳥肌が立ち、そして…密かに興奮していたのだ。本当に人の不幸をあの惨状を僕は楽しんでいたのだった。
震災発生から一週間後、真澄の存在すら忘れていた頃…西神地区の避難所からの中継…20分前。
スタッフの一人から白い紙を渡される。
『真澄さん、お亡くなったそうです』とそこには走り書きされていた…。
街中の炎と瓦礫の山と死臭…にパニックを起こすのは普通の精神の持ち主なら当然だと思う。
そして…僕は、異常な精神の持ち主だった。愛する女の心配よりもあの惨状を楽しんでいたのだ。
「これでも僕は、ジャーナリストの端くれだから、この状況をほっとくことは出来ない!」と、必死にしがみつく真澄を振り払い、偉そうな言葉を巧みに羅列して彼女や看護婦らを騙して系列のTV局の応援に駆けつけたのだった。
…魂に悪魔が降臨した瞬間でもあった。TVカメラの前に立つと、今にも泣き出しそうな顔をして、声も震わせて、燃え盛る神戸市内の惨状を報告し続けた。
カメラの前に立つ度に僕の心は弾み、ブルブルと鳥肌が立ち、そして…密かに興奮していたのだ。本当に人の不幸をあの惨状を僕は楽しんでいたのだった。
震災発生から一週間後、真澄の存在すら忘れていた頃…西神地区の避難所からの中継…20分前。
スタッフの一人から白い紙を渡される。
『真澄さん、お亡くなったそうです』とそこには走り書きされていた…。
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