官能小説!(PC版)

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新入り! 2

[8140]  2008-04-09投稿
「おかしいわねー。灯りは点いてるんだけどー」

お母さんは相変わらず延ばし口調で耳障りだ。
どうやら呼んでも出てこないらしい。

「ケータイは?お母さんの友だちでしょ?」

「それがねー。今はちょっと仕事でいないらしくて、代わりに息子さんがいるらしいのー」

こういうテキトーな母親の友だちもまた、テキトーなんだなと思った。
離婚の原因はこちらにもあったのかもしれない。

その時、ガタガタと戸が開いて私とお姉ちゃんは驚いた。

まったくこの土地、この家には似合わない、都会にいた若々しい格好の男性が出てきた。
ちょっと年上に見えなくもない。

「えっと、悦子(エツコ)さん?」

どうやらお母さんの名前しか聞かされていないらしい。
まだ私たちにすら気づいていない。

「ごめんなさいねーいきなり。私たち今日からご厄介になる新堂(シンドウ)と申しますー。あ、娘たちです」

慌ててお姉ちゃんが私を前に寄越す。
なに照れてるのと突っ込む間もなく頭をぐいっと下げさせられ、私は腹立たしかった。

「新堂瑞穂です!こっちは妹の雪帆。双子です!」

「よ、よろしくお願いします…」

私はしぶしぶ挨拶をした。
顔を上げると彼はにっこり笑っていた。

(なにこの営業スマイル…)

私は出会って一分で彼に嫌悪感を抱いた。



お母さんはテキトー。
お姉ちゃんは頼りにはなるけど、ほとんど口ばっか。
二人は早々に案内された部屋で眠ってしまった。

私は喉が渇いたので、台所に降りて水をもらうことにした。


「…おいしい」

何故か水道水がおいしく感じてしまうのだから田舎は恐ろしい。

「山からひいてる水だから」

突然声をかけられた。
私はグラスを取りこぼしそうになった。

「ん〜〜〜っと。雪帆ちゃん?」

「は…はひ!」

声が裏返る。無理もない。
真っ暗な台所に出会ったばかりの男と二人きり。
昨日まで中学生の子供には多少、恐怖すら覚える。

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