一週間の使用人 4
部屋に入ると
睦月は皿を並べていた。
「…」
俺は何も言わずに
ただその様子を呆然と
眺めていた
「真矢…。来ていたのですか。お声をかけて下されば良かったのに。」
「ぁ、ごめん。なんかぼーっとしてた。」
「さぁ、席に着いて下さい」
もしかしたら
見とれていたのかもしれない。
皿を置くときに下がる目線
そう長くはないけれど
綺麗に流れる髪
朝食をとりながら
そんな事を考えていた
「考え事ですか?」
急に話し掛けられて少し驚いしまった
「ぁぁ…なんでもない…。」
「何か役立てる事があるなら、いつでも相談して下さい。」
仕事だから優しいに違いない。
「……睦月…?」
「なんですか?」
仕事だからそんな風に
微笑んだりするんだ
「……あの…俺――」
それなのに
俺は…
「はい。」
「睦月の事が、
好きになったみたいなんだ。」
短い時間で、
たった一週間の使用人を
好きになってしまった。
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