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月の吐息 5章

[2472]  るい  2008-05-05投稿
なんなんだよ、あいつ…
安岡のが便利に使えたのにな。

やりにくそうな奴……。

静まりかえったホームルーム、生徒たちの頭には様々な考えが渦巻き、手には様々なジャンルの本が握られていた。

ドフトエフスキー、シェークスピア、ヘッセのようなものからユング、フロイトなどの哲学書…と思えばコナン・ドイルやアガサ・クリスティー…果てはキングやパトリシア・コーンウェル、もちろん日本文学と多種多様に揃っていた。

日向の手にはクリスティーの「アクロイド殺し」というどうやら名作らしいものが握られている。
何故これだったのかと言えば薄かったからだ。
…箱からこれを選んだ時月城は小ばかにしたような顔で「妥当でしょう」と言った。

くっそぉ〜俺がドフトエ…なんとかを取らないとはなから決めてかかってやがった!

腹はたちながらも、意外にも小説は面白く…それがまた悔しい。

「それまで」

月城は時計を見もせずに言い、そのすぐ後からチャイムが鳴った。

日直の号令がかかり、月城はゆっくりと…生徒達を窺いもせず消えて行った。

10分休み。

当然、教室は騒然としていた。

何者?というところからやはりムカついた、という反感あり、カッコイイという憧れあり、様々だった。

勇人がそっと隣に腰掛け囁く。

「お前、あいつと知り合いだった?」

「…という程ではない」
あー未だに信じられないぞ…あのやろーが俺の担任とは…!

回収されなかった本をしまい、勇人を睨む。

「あいつ、性格ドSだぞ…最悪だぜ」

ぶうたれる日向に勇人は笑う。

「お前だってSだろ?」
そうなのか?
まあイジメられたかないよな。

と、突然、月城の冷たい澄んだ声が心臓に突き刺さったあの散歩の時の出来事が脳裏に浮かび…日向は頭を振った。

「日向?お前…顔赤い」
「うえっ!?いやっ、別に…」

「読み慣れない本よんだせいだな!」

ガハハッと笑う勇人。日向はフンっと鼻息荒く教室を出ていった。

「ちょっと涼んでくるから」

勇人はまだ笑っていた…



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