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SNOW DROP〜誘〜

[5266]  まよ子  2008-05-09投稿
『あ〜面白かったー…って泣いてる!』

「うるせーっ…グスッ」

二人がいるのは近所の映画館。
なんでこんな事になっているのかというと
事の発端は放課後まで遡る。

***

帰りのHRが終わってしまえば、
たいていの生徒は待っていたかのように教室から飛び出して行く。
俊も同様にさっさと帰り支度をしていた、その時だった。

『ねえ、黒崎君。』

「…なに」

朝の事もあってか、ぶっきらぼうに返事をかえす。

『朝はごめんね、ふざけすぎちゃった。
しゅ…黒崎君ってからかいやすいんだもん。』

「…………別に、もう気にしてないから。それだけなら俺は帰…」

『ね、映画行かない?』

「はっ!?」

また情けない声をあげてしまう…調子が狂うったらない。

『朝のお詫びって事で…俺チケット2枚持ってるからさ。
なーんて、本当は俺が見に行きたいだけなんだけど。ね、だめ??』

「…………。」

男だけで映画なんて気乗りするはずがないのに…
なぜか断れなかった。そして…

***

今の状況にいたる。

『ねえ、なんかお腹すかない?』

「…いや、別に…」

『あ!あそこになんかあるよ。黒崎君、入ろう?』

「………。」

始めからだが、コイツは人の話しを聞こうとしない。
そのうえ人を自分のペースに巻き込む。しかも素で。

『なんにする?俺はね、コーラにチーズバーガーにチキン…あとポテトのL!』

だけど、それがなぜか…

『黒崎君は?同じのでいい?』

本当になんでかわからないけど…

ふっ…
「ばーか、そんなに食えるかよ。」

『なんで笑うのさー。』


居心地が良いと感じる自分がいることに


その時俺は、初めて気付いたんだ…

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