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堪えられないっ? 詩織・葵編 1

[61609]  ひゅうま 感想くらはい  2008-10-20投稿
詩織、どうしちゃったの…?

牧瀬葵(あおい)は、親友の豹変ぶりに驚きを隠せない。
夏休みも終わった新学期に姿を見せた詩織は、何かが確実に変わっていた
(おかしいよ…)

誰よりも清純で、男子には憧れの存在で…まさに「高嶺の花」だった詩織の、身に纏うオーラが完全に変わってしまっていたのだ。
夏休み前の詩織が汚れない百合なら、今の詩織は匂い立つ洋蘭だ。
眩しいくらいの色気が、制服から滲み出ていて…その影響か、担任までも生唾を飲んでいたように思える。
男子などは見ているだけで興奮してくるようす。
詩織と葵は昔から男子たちの間では憧れの存在だったが、いまや彼らの視線は詩織にのみ注がれているようだ。
葵にとってそれはどうでもいいのだが。

そんな彼らを艶っぽい瞳であしらい、ふっくらした唇を舐める彼女は、女の葵が見てもドキドキしてしまうのだ。

学校の帰り道、葵は思い切って聞いてみようと心に誓っていた。
すると、まるで見透かしたように詩織が見つめている…。


「葵、変よ…何見てるの…?」

柔らかい声音さえ、前とは違う。

変なのは詩織よ、と葵は言葉を飲み込んだ。

「う、ううん。…あの…あのさ、詩織、彼氏でも出来た?」

一瞬、詩織は目を丸くして、それからクスッと笑った。

「そんなのいらないわ…葵ったら、どうしてそんなこと思うの」

「だって詩織なんだか前とは違うんだもん…」

戸惑う葵の手にそっと詩織の冷たい手が被さる。
「…どう違うの?」

葵は身体の奥から、瞳の底から溢れるような色気に圧倒されながら見つめ返した。
ドギマギしながら、首を振る。

「お、大人っぽくなったっていうか…なんか、綺麗すぎて怖いって感じで…」

すると詩織は意味不明な言葉を歌うように呟いた
「大丈夫。親友の葵だけは特別に「仲間」にしてあげるから」

「…?」

ホームに降り立った詩織は真っすぐ前を見つめて微笑みを浮かべる。

これ以上、追求出来ないまま、二人の乗る電車は到着してしまった…。


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