少女・伊織 12
「お義兄さま、こんなこと…やめてください」
声が震え、涙声になってしまう。
すがるような眼差し。
痛々しい程細く雪のように白い身体…。
愛玩動物のようにいたいけな姿。
「伊織…」
うっとりと自分を見下ろす義兄にゾッとする。
この男は、間違いなくあの悪魔の息子だ!
思いの外、優しく乳房を包まれる。
目尻から零れた屈辱の涙をゆっくり舌で拭われると肌がゾッと粟立つ。
武瑠は自分でも不思議だった。
荒々しい欲望は伊織の涙を見た途端、愛しさに代わってしまった。
こんな目にあっても、まだ自分を「おにいさま」と呼ぶ伊織。
欲望は相変わらず居座り手錠を解く気もなかったが、ただ突っ込み果てようとしていた劣情は影を潜め、今は伊織とゆっくり楽しむ気になっていたのだ。
一方伊織は恐怖していた。もしも武瑠が自分を傷つけたりしたら…義父にどんな折檻をされるか。
義父は伊織に傷がつくと烈火の如く怒り、夜のお役目は終わることがないくらい激しくなってしまう。
そんな目には会いたくないわ!
それに…もしかしたら…この状況を利用できないかしら…?
どうせ奴隷のように抱かれるなら、この家で生きていく為になんだって利用してやる!
清香への想いが、伊織を強くし、度重なる凌辱に燻る怒りが頂点に達していた。
やれるだけやってやる…自由になる為にこの家をめちゃくちゃにしてやる…。
まずはこの獣を言いなりにしてみせる。
「お義兄さま…お願い、私に触らないで。お義兄さまが…伊織のせいで穢れてしまう…」
武瑠は感触を楽しんでいた手を止めた。
「どういう意味だ?」
「伊織は…伊織は前からずっとお義兄さまに憧れていたの…でも、もうそんな資格はないの…」
伊織は今、自分の美しさを武器に戦いを挑んでいた。
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