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潤沢な愛‐2

[3402]  ピューマ  2009-05-14投稿
少女は身体が酷く重いと感じた。

額にはお絞りが乗せられていた。

ギターが頭の上で聞こえる。

心地良いアコースティックの音色に少女は身を委ねた。

少女は昨晩の出来事から目を背けるため必死だった。

起きれば自分の事を訊ねられる。

そうすれば答えなければならない。

ふと、音色が止んだ。

少女の眼前に少年が立った。

少年は見た目よりも年齢は上だが、
少女には自分と同い年だと思えた。

「大丈夫?」

少年はその声も少年だった。

少女は思わず頬を赤らめた。

自分は熱を出していたと告げられ納得したが、それとは違う熱さも少女にはあった。

「この雨の中でそんなに薄着じゃ、風邪もひいちゃうよ」

昨晩からの雨は勢いを少し弱めたが、降り続いていた。

「突然助けて下さいなんて、本当にごめんなさい。その、私、行くところがなかったの」

少女ははっとした。

自ら行くところがないと吐露してしまった。


しかし、少年はにっこり笑って頷いた。

それだけだった。

淡い栗色の髪が揺れた。

少女は堰を切ったように泣き出した。

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