義妹…≠…優 ?
優が運転する車は海浜幕張り辺りを南下している。…助手席からみる海は凪いでいて…癒される。
「優。窓から水平線が見えるたら、いい。」
「はい」
「今日は義兄と妹だ」
「はい。義兄さん…ね」
「そうだ。姉の持ち物」
「もう。…虐めないで」
「禁断の密会だな」
「はぃ」優は震えている
前方は道路を挟んで左が海。右手は緩やかなスロープを描いて上る松林。
松林に点在するホテル。
「後悔してるのか?優」
「あれに…入ります」
優は私の問いには答えずノッポの建物の中に車を入れた。慎重にバックで駐車場に止めてエンジンを切ると、優は後ろの背もたれに頭を預け、目を閉じ荒い息をしている。
私は無言で待った。
目を閉じたまま、左手で探るように私の手を掴み
思い切るように
「降ります。義兄さん」
義妹の声が淫靡だった。優が最上階の海側の部屋を選びボタンを押す。
エレベーターに乗り込むと優は私の背中に回り、
「ごめんなさい…」と小さな声でいった。
部屋に入って思いきりカーテンを開けた。
水平線が見える。
「優。見ろよ、水平線。何か、ワクワクして、…ときめかないか?水平線を見ると。…あの向こう側には何があるのか、身震いするような未知への誘惑かなあ、マゼランもマルコポーロもコロンブスもダウインも…船出したんだろな」
「女はいないわね」……「女船長もいたけど途中で船員と見たいものを見て…引き返したらしい」
「物知りね…義兄さん」
「優、まだ『義兄さん』って呼び方、板についてないよ。こんな時には、切なく甘く、自然に…義兄さんって呼ぶもんだ。シャガールのブルーのように」
「判った。じゃそれまでは使わない」
私たちは笑いながら暫く海を見ていた。
「優、俺たちの水平線の向こうには何が見えるのかな」
「バスの準備しますね」
優はそれだけ言うとバスルームに向かった。
私が今日、優とここに来たのは私なりに理由があった。ここ 3、4年頭の中で結論の出ない事があったからだ。世界一のコーチを目指す優と同次元の問題である。
漠然と見えつつあるそれが、ここに来る事で解るかも知れないと思ったからだ。
「優、俺の童貞喪失の事を話そうか?」
「優。窓から水平線が見えるたら、いい。」
「はい」
「今日は義兄と妹だ」
「はい。義兄さん…ね」
「そうだ。姉の持ち物」
「もう。…虐めないで」
「禁断の密会だな」
「はぃ」優は震えている
前方は道路を挟んで左が海。右手は緩やかなスロープを描いて上る松林。
松林に点在するホテル。
「後悔してるのか?優」
「あれに…入ります」
優は私の問いには答えずノッポの建物の中に車を入れた。慎重にバックで駐車場に止めてエンジンを切ると、優は後ろの背もたれに頭を預け、目を閉じ荒い息をしている。
私は無言で待った。
目を閉じたまま、左手で探るように私の手を掴み
思い切るように
「降ります。義兄さん」
義妹の声が淫靡だった。優が最上階の海側の部屋を選びボタンを押す。
エレベーターに乗り込むと優は私の背中に回り、
「ごめんなさい…」と小さな声でいった。
部屋に入って思いきりカーテンを開けた。
水平線が見える。
「優。見ろよ、水平線。何か、ワクワクして、…ときめかないか?水平線を見ると。…あの向こう側には何があるのか、身震いするような未知への誘惑かなあ、マゼランもマルコポーロもコロンブスもダウインも…船出したんだろな」
「女はいないわね」……「女船長もいたけど途中で船員と見たいものを見て…引き返したらしい」
「物知りね…義兄さん」
「優、まだ『義兄さん』って呼び方、板についてないよ。こんな時には、切なく甘く、自然に…義兄さんって呼ぶもんだ。シャガールのブルーのように」
「判った。じゃそれまでは使わない」
私たちは笑いながら暫く海を見ていた。
「優、俺たちの水平線の向こうには何が見えるのかな」
「バスの準備しますね」
優はそれだけ言うとバスルームに向かった。
私が今日、優とここに来たのは私なりに理由があった。ここ 3、4年頭の中で結論の出ない事があったからだ。世界一のコーチを目指す優と同次元の問題である。
漠然と見えつつあるそれが、ここに来る事で解るかも知れないと思ったからだ。
「優、俺の童貞喪失の事を話そうか?」
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