鬼畜なアイツ 1
俺は木崎優輝…
全寮制男子校に親の都合で放り込まれた日本一不幸な高校二年生。
二年生…つまり、転校生ってわけ。
親父は仕事の都合でイギリスに転勤、離婚して他に身寄りもいない俺は
「全寮制」という安全を押し付けられたんだ。
冗談じゃないよ、本当…
陰鬱な気持ちで、おっとりとした担任が俺の紹介をしているのを聞いている…ん?
ふと、満面の笑顔で俺を見つめる顔があることに気づいた。
なんだ、あれ(笑)
そいつは後ろから二番目の窓際の席で、幸せそうな笑顔で俺を見ていた。
幼い顔立ち、細い縁の眼鏡…色白の肌に天然の栗色の髪の毛。
明らかに真面目そうな奴…なんで笑ってんだ?
向こうは俺が見ていることに気づいたのか、更に唇を引き上げ…そっと自分の手で耳たぶに触れた
?
なにしてんだ?
きょとんとした俺に、今度は俺を指差してから耳たぶに指を差す。
ハッとして、俺の耳に手をやると…ヒラリ、と桜の花びらが床に落ちた。
…これか
イヤリングみたいにくっついていたのかと思うと恥ずかしさで赤くなった
あいつ…!
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