鬼畜なアイツ 14
リョウの手が、軽く俺の手首を掴んでいた。
その熱さに驚く。
さっきより上がってる?
「リョウ、大丈夫?」
リョウは「うん」と子供みたいに頷く。
じゃ、なんで手首離さないの、と目で訴えてみるが病人は空気を読まないものみたいだ。
「…喉、乾く…」
!!
あ、そうか(焦)
気がきかない、俺!
慌てて部屋に備え付けの冷蔵庫からポカリを取りだし渡す…いや、まず起こすのを手伝う。
それからペットボトルの蓋を外し、渡す…が、リョウが首をふる。
「何?」
「…飲ませて」
…おい…。
いい年してお前は…とか思いつつ転校初日に優しくしてもらった恩返しに熱っぽく赤い唇にポカリを入れたコップをつけてやる。
が、途中むせてポカリがベッドに零れた。
「わ、ごめん」
なんか知らんが俺が謝ってしまう。
慌てて側にあったテーブルにコップを置いてティッシュを掴みボンヤリしたリョウの口端を拭いてやって…
いきなり引き寄せられてキスされた。
…。
俺は状況がわからない。
え〜っと…。
唇がめちゃくちゃ熱い。
熱が上がってるみたいだ
リイチのキスとは違って優しい、おずおずとしたキスだ。
と、パッと離れて…何故かベッドに組み敷かれて俺がリョウを見上げていたのだ。
「…あのさ…ど〜ゆうことだよ」
リイチの時よりは落ち着いている。
リョウが困ったように「さあ…」と言う。
押し倒しといて「さあ」はないだろ。
「熱がでたら欲情した。お前、可愛いし」
可愛い…アイツも言ってたな。
「可愛いくない。俺は男だし。顔ならリイチのが可愛い」
「リイチは嫌だ(笑)アイツは氷で出来た月みたいだろ?」
上手い例えだ…と内心思う。
「前にリイチにノンケって言ったじゃん」
「うん、俺、女の子大好きだよ…でも、ユウキはちょっと可愛いかも」
ベッドでなんの話してんだか…。
「離せよ、俺は…」
「リイチが好きだってか?」
耳まで赤くなるのがわかる。
違う、と言おうとした時 バタン、と音がして…
氷で出来た月…リイチが俺達をジッと見ていた。
俺は飛び起きた。
…これって最悪…。
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