鬼畜なアイツ 15
俺は凄い勢いで跳ね起きてベッドから転げるように飛び出した。
リョウは俺にぶつかってよろけたが構っていられない。
リイチは腕を組んで
「ふ〜ん」
と呟いた。
「趣旨がえしたの」
リョウはニヤッ( ̄ー ̄)
と笑い唇を舐める。
「いや、別に。ちょっと試しただけだよ」
「…桜で?なんで」
柄にもなくつめよるリイチに、俺は胸が痛くなる…なんでかは解らない。
「リイチ、妬くな」
リョウの言葉に、リイチが笑う。
「妬くもんか。もういい…どうでも…」
どうでもいいって…。
リイチの言葉に俺はうろたえた。ほとんど、発作的にリイチを見て泣きそうになるくらいに…。
俺…なんで…?
泣きそう、変、俺、めちゃくちゃ変じゃん…。
リイチはそんな俺を一瞥し、ほんの少し瞳を見開いて…踵を返した。
部屋から消えたリイチを俺は呆然と見送った。
リョウの手が俺の肩に乗り、その熱さに振り返る
リョウがあんなことさえしなければ…と恨みがましい気持ちは瞬時に消えて…「大丈夫?」とだけ聞いた。
「お前こそ…ごめんな、俺のせいで」
謝るなよ、と言いたいのに声が出ない。
リョウが優しく俺を抱き締めた。
「そんな顔すんなよ…本気になっちゃうだろ」
「…う…っ…」
涙が出る。
俺…リイチが…好きだったのか…。
いつ好きになったのかな…で、俺、ふられたんかなあ…。
「ユウキ、リイチは…やめとけよ。アイツは本気で人を好きになんない。…手におえないよ」
「な…んで」
鼻声、みっともねえ…。
「アイツ、付き合ってた女、ことごとくフッててさ。理由が…もうどうでもよくなったから…ってさ…」
どうでもいい…。
さっきのリイチの言葉。
結局、リイチにとって、俺はカラカイの対象だっただけなんだ。
俺なんか付き合ってもいないのに。
リョウがもう一度、俺にキスしてくる。
俺は抵抗しなかった。
もう…俺こそ、どうでもいいよ…。
自分で自分がわかんないよ…。
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