鬼畜なアイツ 25
「あ〜あ、可愛い女子でも引っ掛けようかな」
ふざけたようにリョウが笑って、それからふと…真顔になる。
静かに抱き締められた。
リョウの心臓の音が聞こえる…回された手が震えてる。
「友達、だよな俺ら」
俺は頷いた。
「うん、当たり前だろ」
リョウはいつもの無邪気な顔で笑って、じゃあなとだけ言った。
消えていく後ろ姿を見ながら、俺はごめん、と頭を下げていた。
もう季節は夏で、あと少しで夏休みだ。
空は青いし、雲は眩しいくらい白い。
放課後、俺は学校から少し行った場所にある河原に寝そべっていた。
横には、真面目な顔して読書しているリイチ。
「なに読んでんの」
「ドラゴンボール」
…今更なうえに、何故。
つうかブックカバーして読むなよ(笑)
リイチは漫画を脇に置いて、俺を見つめた。
見つめられただけで、俺は切なくなる。
「好き、桜」
小さく呟くリイチ。
「…う、うん、あ、ありがと」
真っ赤になって礼を言うとリイチの唇がそっと触れて、離れた。
「好きでいるから、好きでいて」
子供みたいなことを言うリイチ。
可愛い。
「俺も同じこと思ってるから。リイチ、大好きだよ」
リイチはニコッと笑って言った。
「同じこと思ってんなら…今日、もっと激しくしようか…ね、桜」
…あ〜。
いま、思った。
俺、一生こいつに振り回されそう…(>_<)
まあ、でも。
いっか!!!
…俺達の夏は始まったばかりだ…。
end
長い話にお付き合い下さり有り難うございました
〜ねこ〜
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