魔女【15】
早朝、京都駅に着いた。
まだ人気の疎らな駅前を歩く。
駅ビルの斬新さには、ちょっと度胆を抜かれたけど、
街はそれほど都会っぽくない。
とりあえず、駅前のマクドナルドに入って、朝ごはん。
客席を回っているお姉さんに、あたしは訊ねた。
「どこかに安いお宿はないですか」
あるけど、中学生一人やったら、泊めてくれへんよ。
保護者の方に、予約していただいたら?
お姉さんは、言った。
当分はネッカフェか、マンガ喫茶暮らししかないか…。
まあ、お金はたっぷりあるし…。
そのうち、どこかいい所が見つかるだろう。
あたしは、マクドナルドを出て、
ママからよく聞かされていた、
三十三間堂や、清水寺を巡る。
理解はできないけど、なんだか引き込まれそう…。
それにしても、暑い。
こんな所に、よく都を作ったものだ…。
夕方。
あたしは、四条河原町にいた。
有名な祇園や先斗町に程近い、京都唯一の繁華街。
ここなら、24時間営業の店もありそうだ。
見回して、すぐに看板を見付けた。
だけど、足が竦む。
故郷の繁華街では、どこの店に入るのも平気だったけど、
ここでは、なかなか入れない。
断られたら、どうしよう…。
警察に通報されても、困る…。
あたしは、途方にくれて、
鴨川に掛かる四条大橋を何度も往復した。
それにも疲れて
橋の上から川面に映るネオンを眺めていると、
「ハイ、どうぞ」
と、広告入りのティッシュを渡された。
顔をあげると、茶髪の軽薄そうなお兄さんが、笑いかけてきた。
「どうしたん?鴨川じゃ、暑うても泳がれへんよ」
「いえ、大丈夫です」
あたしが立ち去ろうとすると、お兄さんが言った。
「あんた、家出してきたんやろ?行く宛、ないんやったら、相談にのるで。
オレ、八時までここでティッシュ配りのバイトやから、気ィ向いたら、またおいで」
あたしの大嫌いなタイプの男。
なのに、心の中では、少しホッとしてる…。
あたしは繁華街を一巡して、再び四条大橋に向かった。
「やっぱり来たな。思た通りやな」
あたしは、コクンと頷いた。
まだ人気の疎らな駅前を歩く。
駅ビルの斬新さには、ちょっと度胆を抜かれたけど、
街はそれほど都会っぽくない。
とりあえず、駅前のマクドナルドに入って、朝ごはん。
客席を回っているお姉さんに、あたしは訊ねた。
「どこかに安いお宿はないですか」
あるけど、中学生一人やったら、泊めてくれへんよ。
保護者の方に、予約していただいたら?
お姉さんは、言った。
当分はネッカフェか、マンガ喫茶暮らししかないか…。
まあ、お金はたっぷりあるし…。
そのうち、どこかいい所が見つかるだろう。
あたしは、マクドナルドを出て、
ママからよく聞かされていた、
三十三間堂や、清水寺を巡る。
理解はできないけど、なんだか引き込まれそう…。
それにしても、暑い。
こんな所に、よく都を作ったものだ…。
夕方。
あたしは、四条河原町にいた。
有名な祇園や先斗町に程近い、京都唯一の繁華街。
ここなら、24時間営業の店もありそうだ。
見回して、すぐに看板を見付けた。
だけど、足が竦む。
故郷の繁華街では、どこの店に入るのも平気だったけど、
ここでは、なかなか入れない。
断られたら、どうしよう…。
警察に通報されても、困る…。
あたしは、途方にくれて、
鴨川に掛かる四条大橋を何度も往復した。
それにも疲れて
橋の上から川面に映るネオンを眺めていると、
「ハイ、どうぞ」
と、広告入りのティッシュを渡された。
顔をあげると、茶髪の軽薄そうなお兄さんが、笑いかけてきた。
「どうしたん?鴨川じゃ、暑うても泳がれへんよ」
「いえ、大丈夫です」
あたしが立ち去ろうとすると、お兄さんが言った。
「あんた、家出してきたんやろ?行く宛、ないんやったら、相談にのるで。
オレ、八時までここでティッシュ配りのバイトやから、気ィ向いたら、またおいで」
あたしの大嫌いなタイプの男。
なのに、心の中では、少しホッとしてる…。
あたしは繁華街を一巡して、再び四条大橋に向かった。
「やっぱり来たな。思た通りやな」
あたしは、コクンと頷いた。
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