魔女【14】
一学期の終業式の翌日。
パパを会社に送り出し、あたしも家を出た。
ボストンバッグに入るだけの着替えと、お気に入りのCDを数枚。
そして、
貯金通帳。
あたしが生まれた時にママが作った、あたし名義の通帳。
結婚費用に充てるつもりで、ママがコツコツと貯めてきていて、額面は百万円近い金額になっていた。
あたしは通帳を胸に抱いて、涙をこぼした。
ママ…。
ごめんね。
あたしのこと、いつも大事にしてくれてたのに…。
あたし、なんであんなことしたのかな…。
せめて、パパとのこと、ママに話してたら、別の結果になったんだろうね。
あたし、
いちばん大切な人を
殺してしまったんだね。
あたしって
人間じゃないよね?
あたしは、パパ宛てに手紙を書いた。
[大好きなパパへ
パパが、そんなにもママを愛してたなんて、知らなかったの。
パパ。
ごめんね。
あたし、
パパの前から消えるね。
だから、
もう泣かないで。
千絵]
駅で、夜行列車の切符を買った。
行き先は、京都。
ママが短大の頃、二年間を過ごした街。
「千絵もね、大学は京都になさい。
東京みたいに大きすぎないし、
大阪みたいに雑然としていない。
大学も多いしね。
千年の歴史と、新しい文化が共存してる、不思議な街よ。
きっと、千絵も好きになるわ。
私の娘なんだもん」
ママはそう言って、色んな話をしてくれた。
あたしはママの話を聞きながら、ずっと憧れてたんだよ…。
列車の時間まで、あたしは駅前のマンガ喫茶で時間を潰した。
特急と新幹線を乗り継げば、夕方には京都に着くんだけど…。
あたし、
少しだけ、期待してた。
パパが、血相を変えて、あたしを探してくれるって…。
そして、きっとあたしを見付けて、連れ戻してくれるって…。
だけど、パパはとうとう、駅には現れなかった。
あたしは、夜行列車の硬い寝台で、声を殺して、一晩中泣いていた。
パパを会社に送り出し、あたしも家を出た。
ボストンバッグに入るだけの着替えと、お気に入りのCDを数枚。
そして、
貯金通帳。
あたしが生まれた時にママが作った、あたし名義の通帳。
結婚費用に充てるつもりで、ママがコツコツと貯めてきていて、額面は百万円近い金額になっていた。
あたしは通帳を胸に抱いて、涙をこぼした。
ママ…。
ごめんね。
あたしのこと、いつも大事にしてくれてたのに…。
あたし、なんであんなことしたのかな…。
せめて、パパとのこと、ママに話してたら、別の結果になったんだろうね。
あたし、
いちばん大切な人を
殺してしまったんだね。
あたしって
人間じゃないよね?
あたしは、パパ宛てに手紙を書いた。
[大好きなパパへ
パパが、そんなにもママを愛してたなんて、知らなかったの。
パパ。
ごめんね。
あたし、
パパの前から消えるね。
だから、
もう泣かないで。
千絵]
駅で、夜行列車の切符を買った。
行き先は、京都。
ママが短大の頃、二年間を過ごした街。
「千絵もね、大学は京都になさい。
東京みたいに大きすぎないし、
大阪みたいに雑然としていない。
大学も多いしね。
千年の歴史と、新しい文化が共存してる、不思議な街よ。
きっと、千絵も好きになるわ。
私の娘なんだもん」
ママはそう言って、色んな話をしてくれた。
あたしはママの話を聞きながら、ずっと憧れてたんだよ…。
列車の時間まで、あたしは駅前のマンガ喫茶で時間を潰した。
特急と新幹線を乗り継げば、夕方には京都に着くんだけど…。
あたし、
少しだけ、期待してた。
パパが、血相を変えて、あたしを探してくれるって…。
そして、きっとあたしを見付けて、連れ戻してくれるって…。
だけど、パパはとうとう、駅には現れなかった。
あたしは、夜行列車の硬い寝台で、声を殺して、一晩中泣いていた。
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