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魔女【15】

[1684]  MICORO  2009-07-26投稿
早朝、京都駅に着いた。

まだ人気の疎らな駅前を歩く。

凝った意匠の駅ビルには、ちょっと圧倒されたけど、
街はそれほど都会っぽくない。

とりあえず、駅前のマクドナルドに入って、朝ごはん。

客席を回っているお姉さんに、あたしは訊ねた。

「どこかに安いお宿はないですか」
って。

中学生一人じゃ、泊めてくれないよ。
保護者の方に、予約していただいたら?

お姉さんは、言った。


ホテルがダメなら、当分はネットカフェか、マンガ喫茶暮らししかない。

お金はたっぷりある。

そのうち、どこかいい所が見つかるだろう。

あたしは、マクドナルドを出て、
ママからよく聞かされていた、
三十三間堂や、清水寺を巡ることにした。


それにしても、暑い。

話には聞いたことがあるけど、これほどとは…。

夕方。
あたしは、ふらふらになりながら、四条河原町にいた。

この辺りは、有名な祇園や先斗町に程近い、京都唯一の繁華街。

あたしはすぐに、
24時間営業のマンガ喫茶を見付けた。


だけど、足が竦む。

故郷の繁華街では、
どこの店に入るのも平気だったけど、

初めての街では、なかなか入っていけない。

断られたら、どうしよう…。
警察に通報されても、困る…。

あたしは、困り果てて、
鴨川に掛かる四条大橋を何度も往復した。

それにも疲れて
橋の上から川面に映るネオンを眺めていると、

「ハイ、どうぞ」

と、ティッシュを渡された。

顔をあげると、茶髪の軽薄そうなお兄さんが、笑いかけてきた。

「どうしたん?鴨川じゃ、暑うても泳がれへんよ」

「いえ、大丈夫です」

あたしが立ち去ろうとすると、お兄さんが言った。

「あんた、家出してきたんやろ?泊まるとこ、ないんやったら、相談にのるで。
オレ、八時までここでバイトやから、どうしょうもなかったら、またおいで」


あたしの大嫌いなタイプの男。

なのに、心の中では、ホッとしてる…。

すぐに行くのもシャクだ。

あたしは繁華街を一巡して、再び四条大橋に向かった。


「やっぱり来たな。思た通りやな」

あたしは、コクンと頷いた。

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