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魔女【16】

[2133]  CORO  2009-07-27投稿
「そこの『南座』のちょっと先に、都路里の本店があるさかい、中で待っといて。スグ行くから」

「ツジリ?」

「そや。都路里。知らんのか?」

あたしは頷いた。

「へえ、めずらし。女の子は都路里の抹茶パフェ食べに、わざわざ全国から来るんやで」

「へえ…」

「まあ、ええわ。とにかく入って何でも食べとき。オレが奢ったるさかい、心配いらん」

三十分ほどして、お兄さんが現れた。

向かいに座って、注文を済ませる。

「オレ、井上達夫。お前は?」

初対面で、『お前』??

ちょっとカチンと来たが、あたしは我慢した。

「千絵です。支倉千絵」

「千絵は、いくつ?中学生やろ?」

「えっ、あ、はい。一年です」

「ってことは、13歳?」

「ハイ…」

運ばれて来たパフェを、おいしそうに食べながら、あたしを観察する。

「処女やないな?」

突然言われて、あたし絶句した。

でも、素直に頷いてた。
どうして、わかるんだろう…。

「行くとこないんやったらお前、オレの部屋に来るか?
何にもせえへん、とは言わん。
それでもよかったら、しばらく居って、ええわ」

「それって…」

あたしは『援助交際?』と言おうとしたが、周囲を憚って、飲み込んだ。

「まあ、そやな。援交みたいなもんや。
はっきり言うけど、オレ、お前とやりたい。さっきから、チ☆ポ、勃ちっぱなしや」


迷う必要などない。

「馬鹿にしないで」

そう、断るべきだった。

だけど、口をついて出たのは、

「いつまで置いてくれますか?」

期間は、とりあえず一ヶ月。

あたしは、達夫の希望するときに、いつでも身体を提供する。

それが条件。

「オレ、貧乏やから、小遣いまでは無理やけど、メシくらいは、食わしたる。」

あたしは黙って頷いた。

お金が無いって思わせた方が得策みたいだったから…。


割の合わない、契約だと思う。


でも、今は達夫に頼るしかない。

家出してきた中学生にとって、お金だけではどうしようもないこともある。

パパの元に帰ることだけは、絶対にできないんだから…。


あたしは達夫の後に着いて行った。

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