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魔女【20】

[1701]  CORO  2009-07-29投稿
目が覚めたのは、昼近くだった。


久しぶりに、ゆっくり眠ったような気がする。


キスを拒まれて落ち込んだのか、達夫はあれから求めては来なかった。

ベッドの隣に入って来た形跡もないから、もしかしたらリビングのソファーに寝たのかも…。


気の毒なことをしたと思うけど、
やっぱりキスだけはイヤ。


身体はシャワーで洗い流せるけど、

唇だけは…、

好きな人でないと、許せない。



空腹を覚えて、
あたしはリビングに行った。


小さなガラステーブルの上には、コンビニの袋と置き手紙。


『千絵、おはよう。
学校に行って来る。

朝メシ買っといたから、ちゃんと食えよ。

バイトで、帰りは遅いから、夜は外食でもしといて。

金は袋の中に入ってる。

足りなかったら後は自腹だぞ!

達夫』


あの人、学生だったんだ。
あんなことしてたから、てっきりプータローかとおもってたけど…。


コンビニの袋の中には、タマゴサンドとカフェオレ。

あとは9千円と小銭が少し。

それに、レシート一枚。


一万円札で買い物して、お釣りを全部置いて行ったんだ…。

ビンボーだって言ってたけど、大丈夫かなぁ…。


ちょっと心配。


でも、所詮通りすがりの人。
あたしが棲家を見付けまでの関係。


あたしはソファーに腰を下ろして、サンドイッチに齧りついた。


おいしい!
タマゴサンドって、あたしの大好物。

偶然にしては、上出来だよ。達夫クン。


ご機嫌でパクついてると、
急に胸がムカムカしてきて、
あたし、トイレに駆け込んだ。


どうしたんだろう?


色んなことがあったから、きっと疲れてるんだよね。


あたしは、再びベッドに潜り込んだ。



再び目覚めた時、窓の外は薄暗くなっていた。


あたしは、ふと思い付いて、出掛けることにした。


達夫クンと一緒に、晩御飯を食べよう。


ジーンズのミニスカートに、パステルカラーのTシャツを着て、四条大橋に向かう。


橋の人混みの中に、達夫クンはいた。


あたしは後ろからそっと近づいて、声をかけた。

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