それでも僕は 2
僕は、人の言うところの秀才だ。
努力しないで頭がいいとか言われているけど…そんなわけない。
カッコ悪いから努力したところを見せない見栄っ張りなだけだ。
あと、僕はどうも人と話すのが苦手で、冷たいとか思われている。
苦手、と冷たい、は違うと…僕は思うのだけど。
だからクラスではわりと浮いている。
嫌われても好かれてもいない気がする。
イジメにあったこともないし、イジメたこともない、至って普通の学園生活を送っている。
そんな僕がまさか、男に恋をするわけないじゃないか?
僕は普通だ。
とか思っていたんだ。
今日、気づくまでは。
いつからだろう?
いつ、好きになったんだろう??
僕は園芸部にいる。
何でって単純に植物が好きだからだ。
植物は喋らないし、誤解しないし、鬱陶しくないし、馬鹿じゃない。
だから、僕はひたすら水をやる。
同じ園芸部の連中とは仲良くない。
あいつらは幽霊部員だからだ。何かの部活に入らないと内申書に響くから入ってるだけ。
だから入学してすぐに園芸部に入ったのに数えるくらいしか一緒に行動してない。
それでいいんだ。
で、僕はその日も水をやっていた。
昨日作った西洋紫陽花の花壇に。
5月の暑い放課後。
そうしたら、あの人がブラブラやってきたんだ。
日に透けるキラキラした髪の毛を揺らして。
「よお」
…誰?
部員じゃないよね。
それともまだ見ない幽霊がいたのかな。
「…なんですか」
僕は一瞥して、ぶっきらぼうに言った。
「なあ、新入生!
お前毎日花に水やってんのな〜」
…だからなんだ。
余計な話、するなよ。
という顔をしてやる。
「うわあ、無愛想な奴だなあ(笑)面白〜!!
俺、二年の宮前亮二っての。お前は?」
一応先輩だ。
「…大和鈴…です」
おざなりに敬語。
茶髪だし、絡まれたら面倒だから。
「…ね、ちょっとか〜してっ♪ね?」
「ち、ちょっと、困…うわっっ!な、ちょっと…」
信じらんない!
先輩はいきなり僕が持っていたホースを引ったくると 夏服に変わったばかりの制服に水をかけてきたのだ!
…なんなんだよ、この人
それが亮二先輩と僕の出逢いだった。
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