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魔女【37】

[2800]  CORO  2009-08-13投稿
罪の意識が蘇る。

「ど、どうしよう!パパッ!あたし、どうしようっ!」


錯乱するあたしの頬を、パパが打つ。


「千絵、落ち着け!まず、救急車だ!」


パパは電話機を指差して怒鳴った。




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

彼女の傷はそれほど深くなかった。


彼女の乳房が豊かだったのと、あたしが非力だったことで、
傷は肺まで達していなかったらしい。


その夜、
あたしは警察で取り調べを受けた。


あたしは、事件のいきさつを正直に話した。

パパとの関係だけは除いて…。


翌朝、
理由はわからないけど、
あたしは釈放された。

何の罰もなく…。



パパに訊ねても、何も教えてはくれなかった。

ただ、彼女には感謝しろと、言われただけ…。


年明けから、あたしは普段通り登校した。


あんな事件を起こしたのに、すべては今まで通りに流れていった。



パパとの関係を除いては……。




そして三月。


あたしは中学を卒業し、
再び京都に出ることにした。

彼女が全快し、
パパと暮らすことになったから…。


高校は、地元で進学が決まっていたが、
進路指導の先生の計らいで、
京都の高校に、編入させてもらえることになった。

地元高校よりも、ランクは落ちるけど、あたしにとって、たいした問題ではなかった。


部屋は、パパが借りてくれて、
毎月の仕送りもしてくれることになった。


「もう、千絵にしてやれるのは、
このくらいしかない。
許してくれ…」


パパはそう言って、
淋しく笑った。


旅立ちの前夜。

あたしたちは、激しく求め合った。

あたしは数え切れないくらい、官能の津波に翻弄され、
パパは、自分が回復しなくなっても、
抱擁をやめなかった。


明け方、
パパはあたしをむぎゅって抱きしめて、
涙をこぼした。

「千絵が娘じゃなかったら、
どんなによかったか…」


「でも、あの人を、愛してるんでしょう?」


あたしは、わざと醒めた口調で訊ねた。


パパは……、

何も答えなかった。

    (第一部・終)

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