青 2
「あ、ちょっと待って!」
呼び止めようと放った声が
相手に届く事は無かった。
『またね。』
彼は綺麗に頬笑みながら
そう言った。
必ずまた会える。
また…会いたい。
俺は自分の首にかかった
マフラーに顔を当てた。
煙草の匂いだ。
握られた手が熱い気がする。
心臓がさっきからうるさい。
名前…知りたいな。
それから毎日、同じ時間に同じマフラーを持って同じ場所で彼を待った。
「君は…。」
そして彼は3日後に再び俺を見つけてくれた。
「あ、あの…。」
どうしようもなく心臓が騒ぐ。
声が掠れる、手が震える。
「これ、返さなきゃと思って。」
紙袋に入った青いマフラーを差し出す。
「これは、君にあげたつもりだったんだけどな…。
少し時間はある?」
「…はい、あります。」
「良かった一緒にお茶でも飲まないか?いい雰囲気の喫茶店が近くにあるんだ。」
どうしよう…緊張する。
「俺なんかでよければ…。」
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