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それでも僕は 13

[1885]  ねこ  2009-09-23投稿

「昨日さ」

吹きつける風に飛ばされないくらいの声で、先輩は話始めた。

もう!
教室で話せばいいのに!

「ねえ、先輩ってば…」

「昨日、ユウキと話したんだ」


木崎先輩と?

「自分の気持ちを確かめたくてさ。
色んなことわかった。
俺はやっぱり…」

嫌だ、聞きたくない。

僕の塞ごうとした両手を先輩は強く抑えた。

「聞いて、鈴」

…。

「やっぱり、ユウキが好きだった」


…。

わかってるよ…。

「鈴、「だった」んだ。ユウキは…過去だ」

…え?

「ユウキの天然で見てて面白いとこが可愛いと思った。俺にはない明るさや、正直なとこが眩しかった。
でもさ…今はもう、痛くない。あいつがリイチと幸せそうにしていても、痛くないんだ」


「…良かった…ですね」

じゃあ、先輩のさっきの笑顔は本物だったんだ。
リイチ先輩も知っていたんだ。

「…良かった。って、お前それだけ?」

笑う先輩に、どうしていいかわかんない僕。

「それだけって…どういう…」

先輩は、これ見よがしに溜め息をついて座り込んだ。

「…知らなかった。
本気で惚れてる相手に告白すんのって、めちゃくちゃ緊張すんのな」

…いま、なんて…。

先輩は立ち上がって、僕の前に立って、深呼吸した…綺麗な目は優しい輝きで満たされてる。

「鈴、好きだ」

ホントに?

先輩、それ、本当?

言葉が…でない、どうしよう、言葉が…。

先輩が、慌て始める。

「え、ちょっと…鈴、返事は?」

だって、声でないんだ。

頭も真っ白で…。

いよいよ、先輩が困った顔をする。

「鈴?大丈夫か、なあ」

大丈夫、って言おうとしたら、頬が温かくなった

涙。

声の代わりに涙が。

変なの…悲しくなんてないのに…。

ずっと、ずっと、ずっと我慢していたのに。

先輩がふわっと僕を包んだ。

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