君にいいたいコトがある
新学期。
やな言葉。
高校一年生になる。
…実感、なし。
これが朝、起きたときに過った俺の思考。
俺の行くのはバリバリの進学校で、中学んとき仲良かった奴等は皆、普通の高校に行っちまった。
俺だって本当はそっちに行きたかった。
なのに俺の親父が絶対に認めねえから…。
「俺が医者なんだから、お前が医者になるのは当然だろう」
が、親父の口癖。
漫画みたいな頑固親父!
だから、当然俺は新しい学校に対してワクワクもなんもなかった。
洒落たブレザーがうざい
濃紺のネクタイに気持ちまで締め付けられる。
茶髪だった髪を黒に戻した時に感じた屈辱が蘇る
「そんな髪のやつ、三ノ宮高校にはいないだろ。
最初から浮いて教師どもに目をつけられて面倒になるのはお前だぞ」
親父の言葉に反発しつつ乗っかった自分に対して苛立つ…鏡なんてみなきゃ良かった。
朝飯食って、母親がめかし込んでるのにウンザリ
入学式って、なんで親が来たりすんだろ?
別に面白くもないのに
その日の俺は朝から不満ばっかりで、本当にイラついていた。
母親と一緒に歩きたくなくて離れてついていく。
周りを見れば、仲良さげに話してる連中もいりゃ俺みたいな奴等もいて…まあ、十人十色ってとこ
さすが進学校ってだけあって、確かに茶髪なんていやしない。
女子も地味〜で、食指も動かねえ…。
洒落っけもない、真面目なアリンコども。
つまんなそうだな…。
と、その時、俺はギョッとして立ち止まった。
後ろ姿。
日に透ける輝く髪。
淡い栗毛がふわふわ揺れている。
…へえ…いるんだ。
母親は先にさっさと行ってしまったことだし、ちょっと顔でも拝見しとこうかな…。
近づいてみる。
さりげな〜く横顔をチェック…。
…。
あれ?
俺間違えた??
…いや、ネクタイしてるし…男だよな。
しかし。
横にいるこいつは…。
信じられないくらい綺麗な人間だった。
全く、驚いた。
男で、いや、全てをあわせても…こんなに綺麗な人間てみたことねえや。
それが、こいつ…
中崎翔との出逢いだった
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