まったくもう 10
ン…ハアッ…ンッッ…
小さいあえぎ声が、妙にいやらしくて僕は我慢が出来ないとこまで来ていた。
制服の黒いズボンのチャックに手をかける…が、さすがに躊躇う。
いいのか?
まずくないか?
これはもはやキスの実施を越えてるよな?
だが、指はチャックのツマミを引き下げにかかっている。
そっか、もう自分の理性は飛んでいるらしいや。
唐突に、良夜の右手がその手を止めた。
僕を見上げる目が、明らかにうろたえている。
涙目が、もう泣き顔に変わっている。
真っ赤な顔で小さく呟いた。
「嫌だ…だめ」
な。
なんでコイツ、いつもみたいに「やめろや」とか
「よせ」とか言わないんだよ??
狙ってんのか?
そんな風に言われたら余計に…。
チャックの隙間から差し入れた感触で気づいた。
…濡れてる。
気づかれたことに気づいた良夜は、バッと手を離して顔を隠した。
「馬鹿!」
首筋まで赤い。
…。
愛しい、という感情がこれじゃないなんてことあるだろうか?
僕は良夜のズボンを膝まで降ろした。
ここからはプライドなんか関係ない。
単に、良夜としたい僕がいる。
細い両足の付け根が、誰にも見せられない状況になっているのが解る。
恥ずかしさで言葉もない良夜のソレを見るべくトランクスを降ろした。
驚くほど濡れていた。
今にもこぼれ落ちそうな露がたまっていた。
…溢れた。
また、溢れる。
ポロポロ涙みたいにこぼれていく。
…凄い。
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