遠い日の唄 1
出逢ったのは雪がふる寒い夕方。
俺は正月を控えた自宅の意味不明な慌ただしさが嫌で、ジュースを買う名目でふらふらさ迷っていた。
大掃除が嫌で抜け出したからには、しばらく戻れない。
と、鉛色した分厚い雲からチラリチラリと雪が降りてきた。
なんてこった。
参ったな。
俺は当初の目的である自販機に近づき、ホットコーヒーを買うことにした
二百円入れて、釣りを取ろうとかがんだ時、うずくまる影に気づいてギョッと固まる。
…自販機にもたれるようにして、目を閉じている…少女、いや、少年か?
…まさかとは思うが、死んでないよな…。
恐々、白いロウのような頬に指を伸ばし…つついてみる。
と、薄くだが反応があった。
瞼がほんの少し震えた。
生きてる。
良かった…が、どうする…かなあ。
このままほっとくのは、ちょっとまずいだろ。
雪はどんどん降ってくるし…。
取り敢えず、起こすか。
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