遠い日の唄 3
…。
………。
なんか、視線を感じる。
振り返ると、やたら寂しそうな顔した少年が見つめていた。
まさに捨て猫。
ぶかぶかのダッフルコートが妙に侘しさに拍車をかけている。
…だあ〜もう!!
俺はツカツカと来た道を戻った。
ほんの少し戸惑った少年は、あの、とか呟いている。
「行くとこあんの?」
だんまり。
それが全てを物語る。
俯いた目が僅にうるんでいて、微かに胸が痛んだ
「…少し、付き合う?」
「えっ」
警戒してんかな?
とか思ったら、次の瞬間少年はそれはそれは可愛いらしい笑顔を見せた。
「はいっ!」
…どうしようかなあ…。
自宅は論外。
カラオケルームなら暖かいし金もかからないか。
と、いうわけで俺は大層可愛い少年となぜか連れだって歩き始めた。
「あの、僕、藤堂ユウです…カタカナで」
「俺は佐川鋼。ハガネなんて変な名前だよな」
自己紹介終了。
さて、何を話すか…。
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