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遠い日の唄 5

[1857]  にゃんこ  2010-01-07投稿

薄暗い部屋で、たいして知りもしない二人がまったりしている。

初めこそ緊張していた少年も、いまや犬なみになついている始末…困ったな、警察に引き渡し辛いじゃないか…。

俺の好きな曲を入れながら聞いてるだけの時間なのに妙に楽しい。

ユウは無邪気にリモコンをいじりまくり、変な演歌とか入れて二人で爆笑してしまった。

が、

あるフレーズが画面に浮かんだ瞬間、ユウの目が見開かれて笑顔が消えた。


君といた日々が
すべて幻なら

そんな現実など
僕は受け入れたりしない

俺の好きなバンドの唄を ユウは静かに聞いて…唐突に曲にあわせて口ずさんだ

もしも僕が消えてしまったなら

君は僕を捜してくれるのかな

そんな考えを笑ってくれる「君」という存在だけが
たった一つだけの

リアル



…ユウの澄んだ声がゆっくりとした曲調に溶けて消えていく。

マイクがなくても響く、透明な歌声に満たされていく…。


…気がつくと、ユウは泣いていた。

泣きながら歌っていた。

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