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遠い日の唄 6

[1877]  にゃんこ  2010-01-07投稿

声をかけるにかけられなくて、その人形のような繊細な横顔を見つめていた。

突然現れた謎の少年。

これが少女だったら、俺は…うん、恋に堕ちていたに違いない。

その水晶みたいな瞳と、歌声に俺はきっと…。

「鋼さん…」

歌い終わったユウの声が震えてる。
思わず抱き締めたくなるくらい儚げに。

「これ…何て唄?
誰の…唄なの」

びっくりした。
歌えるくせに知らないなんて。

「クレセント・ムーンってバンドの「僕のいる場所」…知らないのか?」


小さな頷き。
幼子みたいに、コクリと一回だけ。
キラキラの少女漫画みたいに綺麗な涙が瞬間、落ちてジーンズに染みを作った。

俺は、まあ、どうかしてる行動を取った。

隣で震えてるユウの肩を引き寄せて抱き締めたのだ…うん、確かにこのシチュエーション、相手が女の子なら運命だ。

だが、相手が少年なら…単なる慰める行為になるわけだ。

ユウは泣きながら、肩に頭を載せた。

「僕の…いる場所…」

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