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遠い日の唄 7

[2203]  にゃんこ  2010-01-07投稿

題名を噛み締めるように呟き、泣きながら俺を見上げるユウ。

その顔は痛々しいくらい必死だ。

「ねえ、僕…わかんないよ…僕の場所はどこにあるのかなあ?
…僕はココがいいよ。
この世界がいいよ。

帰りたくない!
帰りたくない、帰りたくない、鋼さん、僕は…嫌だよ…嫌だ…」

すがるように泣いているユウの涙を指でぬぐってやり…強く抱き締めた。

ユウには何かある。

それがなんであっても、俺は…。

守りたい。

さっき会ったばかりの相手にそう思えるなら、それならもういい。

それでいい。
後付けで考える部分は余分なんだ。

俺は、ユウの細い身体を折れそうなくらい抱きしめて…見つめた。

「鋼さん…」

唇との隙間…三センチの距離を阻むもの
それは

相手のことを知らない。
…なら知ればいい。

一センチ、近づく。


男同士だ。

…それでも、したい。

一センチ、近づく。

相手の気持ちがわからない
…知りたいから…キスしたい。


俺たちの間に、隙間がなくなる…。


唇は重なった。

俺たち、知り合ってからまだ二時間半…。

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