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遠い日の唄 9

[1898]  にゃんこ  2010-01-08投稿

ユウの言ってる意味は解らないが、ユウが本当に震えているのを感じていた。
消えてしまいそうなくらいか細い身体がしがみついてくる。

必然だったんだろう。
きっと。

ユウは神様がくれた贈り物なんだ。
でなけりゃ、こんなに愛しいわけない…俺は一目惚れなんて信じないのに。

同性でも…こういう出逢いはあるんだろう。
ないなんて、誰にも言わせない。

構わない。

「ユウ」

今度こそ躊躇なく、俺達は唇を重ねた。
ユウは、必死で答えてくれる…そのたどたどしさが痛くなるくらい愛しい。

大事にしたい。
壊したい。

相反する気持ちに、自分自身が戸惑い流される。

「鋼さん…」

雨が降ったあとの蜘蛛の巣みたいに。

暗闇にかかる爪みたいな三日月のように。

捕らわれてしまった。
堕ちてしまった。

これが、恋だ。

今までの恋が幻のように曖昧に消えて、突き動かされるような激しい色で塗り替えられてしまう。

ユウ。

ソファーに押し倒して見下ろしている俺は

きっといつもの俺じゃないんだ。


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