遠い日の唄 14
ユウ。
一週間たっても、俺は毎日毎日自販機のとこに足を運んでいた。
幽霊でも幻でもいいから、もう一度だけでもいいから、会いたかった。
単に、会いたかったんだ。
僕のいる場所。
その曲が流れると、俺は走った。
カラオケ店にも行った。
ユウ、どこにもいない。
帰りたくない、と泣いたお前は…どこに帰ったんだろう…。
雪は消え、変わりに暖かな日射しが差し込む日々。
女の子のお祭りの日が過ぎても、…もう、毎日行くことはなくなっても、忘れたことはなかったよ。
そんなある日、俺はパステルブルーの空の下、久しぶりに自販機へと足を向けていた。
雪の変わりにビンクの吹雪だ。
自販機の真上にある桜がチラチラと…。
…。
おい…。
嘘だろ…?
自販機にもたれて、桜を見上げる…影。
ユウ。
俺は、走っていた。
走って、走って…影が消えないように祈りながら、走っていたんだ。
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