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月夜の晩に 3

[3062]  にゃんこ  2010-01-27投稿
あれは一月前のこと。

俺は高校生アートコンクールに出品する作品にかなり追われていた。

部室に残って一人黙々と描いていた。

気づけば、六時を回り…俺は伸びをした…と、その手が何かに触れてギョッとして振り替えると…。

葉瑠先輩がいた。

薄暗い部室で、明るい月に照らされていた。

その目がいつもと違うから…俺は慌てて立ち上がろうとした。

が。

先輩は俺の両肩を押さえつけて立たせてくれない。
後ろから、その腕が伸びてきて俺の鎖骨で交差する。
「先輩?」

葉瑠先輩のサラサラした茶色の髪が俺の頬に触れた。
「ちょっと…何すか」

心底戸惑っていた。
こんなに他人と密着したのは初めてだったから。

「…俺、今…変…」

葉瑠先輩の長くて冷たい指が俺の首筋に滑ってくる…
何これ、どうゆう状況?

「冗談が過ぎますよ」

俺は持ってた絵筆を置いてその手を掴んだ。


「しよっか、風見…」

何を、と言おうとした唇を塞がれた。


月が輝いている…。

俺の眼に月の光がもろに飛び込んできて、突き刺すみたいだ…。

キスされながら、そう考えていた。


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