悪魔のルージュ
ニューハーフ・デリヘルに電話したのは昨年6月。ホテルに現れたのは、スタイルよく美形でいて、その眼差しから悪戯っぽい雰囲気を放つ27歳のNH。会話もそこそこに部屋に入ると、壁に大きな鏡が貼られたベッドの横で彼♀に背を向けたまま服を脱ぎ、あらかじめ下着女装《ブラ&ショーツ姿》してきた私は、恥ずかしさと嫌悪感で身動き出来ずにいました。鏡越しに見詰めていた彼♀は「どんな事してほしい?」と呟くも、その問いに応えられずにいた私を背中から優しく抱きしめた彼♀は、妖しく悪戯っぽい眼付きで「ねぇ、何して欲しい?」と呟き、恥ずかしさと半ば嫌悪感に包まれていた私に「メイクしてあげよっか?」と言い、彼♀は持参してきた《お化粧道具》をバックから取り出し、ベッドの上に私が足を崩すと彼♀は嬉しそうに私を見詰めながら向かい合うカタチでメイクを施し始めました。戸惑いつつも少しづつ彼♀の手で心を動かされていった私は、口唇を《ルージュ》が伝ったその瞬間、今まで荒んでいた心の内に光が差し込む感覚を覚え、次第に彼♀の眼差しに惹かれていきました。仕上げにウェーブの掛った《ウィッグ》を手にした彼♀は何も告げないままそれを私に被せ、軽くブラッシングし整え済ませると、私を鏡の前に立たせました。これまで夢や妄想でしかなかった筈の自分の姿を眼にした私は、彼♀の手で魔法をかけられ塗り替えられてしまった様な不思議な感覚と、奥底に秘めていた心の内を解き明かされてしまった事。彼♀の仕業で何もかもが染め尽されてしまった事を少しずつ、でも確実に受け入れていました。すがりたい様な気持ちに駆られた私は懇願するように隣りに寄り添うと、彼♀はそれに応えてくれました。息が出来ない程にきつく、キツく、キツく身体抱きしめ合うと、彼♀の腕の中に墜ちていきました。
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