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女・光と影‐1‐

[4446]  マル秘  2010-04-21投稿
東京も市街地が目まぐるしく近郊農地・山野を侵食して様変わりさせていく…半年前には緑豊かだった里山に今はマンションが入居者募集の垂れ幕をぶら下げている有様だ。

結果、土地成金となった専業農家は跡取りも居ないなどの理由で農業を捨て老後を市街地のマンションに移り住んでいく。
私はある理由で、そんな空き家となった民家を買収して内装に手を加え、庭・菜園つき個建て住宅として貸家業を営んでいる。
父親から引き継いだ仕事である。
経済的豊かな人種を対象にして比較的高い家賃が入ってくる。
現在、9戸を賃貸ししている。

その中の 1戸を賃貸ししている店子の女との関係である…。
名前を真砂という。
夫は大学教授、自分は大学准教授と言う夫婦である。かって職場結婚をしたらしい。

今、夫は米国の大学から招かれて客員教授で赴任していると言った。
マルチな女性だった。
華道、日本舞踊、茶道を大学で教えているとも言った…。

私がその家を買収し、改装を検討している最中に彼女の訪問を受けた。
自分も以前から目をつけていた家だったらしく私が先を越して買収したのだった。

「…つきましては、ご無理なお願いですが、私にこの物件をお譲り頂けませんか」

丁寧な挨拶をした後、真砂は本題を切り出した。

「いえ、それは。…既に登記も済ませてますし、私、ブローカーではありませんから。土地物件転がしと見なされては堪りませんし…」

私がいうと、真砂はしばらく考えている風だった

髪を嫌味なくアップにまとめ、紬の和服姿はゾクゾクするような「女」を感じた。
和服の上から見てもヒップの位置が高い。

「左様でございますよね…では、三年後か…いずれお譲り頂くと言う訳には参りませんか。主人も近かじか帰って参ります。
価格にも応じる用意もございます…その間、お家賃もお払い致します。年払いでも結構です」

私は真砂の色香には惑わされながらも仕事を優先させざるを得なかった。

「そう言われますと…いずれあの辺りも区画整理が行われ手放すことも考えられますが…今、それを契約するとしたら三年後…●●円は頂かないと私どもとしても…」

私は買い取り不可能な程の法外な金額真砂の前に提示した。

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