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母の遺言(十九)

[3182]  バツイチ女  2010-05-02投稿
私は修と話す内に、目頭が熱くなるのを覚えた

「女将さん、何を考えることがありますか…もし仮に、マスクで顔を隠す必要があるとするなら、隠すのは彼等の方ですよ。女将さんの部屋に忍び込む訳ですから。…部屋の主人が顔を隠す方がおかしいですよ。そうでしょ。顔を隠すのは泥棒の方で、お巡りが顔を隠しますか?」

「判った。判りました。言う通りにします。今夜から…」

「それと、女将さん、これから先はお節介なことですが…話をするだけで癒されるなんて、嘘です。思い切りセックスを楽しむべきです…話が長くなるので止めますが…それが人生ですよ…」

「判りました。そうします…人生ですか。…一度ですものね…」

「じゃあ、今夜の相手をおしえますね、そ…」

「修さん!聞かなくていい…私、お部屋で楽しみに待ちます。ただ…マスクはしませんが…お布団の中で眠って待ちます。その都度、修さんが決めてくれた相手を…楽しみに待つことにします…人生の出会いを楽しみに…」

「なるほど…大人ですね。じゃ、そうしましょう。女将さんが眠っていても遠慮は要らないから、デカチンを入れていいから、と伝えておきますね」

「修さん…少し意地悪ね」

「はい。私、意地悪なんですよ…じゃ、私、買い物を思い出しましたから、ちょっと出かけます」

と言って出て行った。
私も部屋に帰って少し睡眠を取ることにした。

1、2時間、と思ってベッドに横になった。が、目が醒めたのは午後の1時だった。
シャワーを浴び、トーストを焼きスクランブルの卵にベーコン、珈琲が揃った頃、窓から見える駐車場に修の車が帰ってきた。

「女将さん、こっちが入居者一同からのプレゼントです。…こっちが、夜のパートナー、6人から。実は、みんなと話して昨日にと思ったんですが間に合わなくて…」

修は大きな紙袋を二つ、テーブルの上に置いた。

「うわ、プレゼントとは嬉しいな。でも、何のお祝い?…ここで開けてもいいの?」

「何のお祝いって、甘い卵焼きの復活祝いですよ。
女将さんの昨夜の初夜に間に合わなかった!
…そんなお祝いのプレゼントですから、ここでは開けないで下さい!お部屋でこっそり…今夜から使って下さい」

「まあ!初夜だなんて。恥ずかしい。そっちの関係ね、じゃ、こっそり、見ます。色々ありがとう」

「それと、これは私から…こんなものは照れ臭いんだけど…」

一度、ドアを出た修は大きな花束を抱えて戻った

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