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ぺぺんたの投稿された作品が138件見つかりました。
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クレイジーキャット 17
次の授業、連理の姿はなかった。 俺は…わかっていた。 連理はアイツと一緒だ。 いいじゃないか、ともう一人の俺が笑う。 どうせ初めからあってないような関係…貸し借りで生まれた関係じゃないか。 俺は連理に借りを返した。連理はそれで、オシマイにした。 それだけだ、と声は言う。 けど、もう一人の俺は悲鳴をあげていた。 全身を針で刺されたような嫉妬の痛み。 今、連理とアイツが同じ場所に居るんだと思うと息さえ
にゃんこ〜地震に負けないで頑張りましょう!〜 [1,075] -
クレイジーキャット 16
「いや、君との関係を彼に問い詰められたんだが…話すことはない、と言った途端に激昂してしまってね」煮詰めた砂糖のように甘い毒のある声。 連理は俺を睨んだ。 「お前、何してんの」俺は…首を振った。 庄野はいかにも困った、というように微笑んだ。 「仲が良すぎるのも困ったものだね。度がすぎる友情は…問題の種となる。気をつけなさい」それだけ言うと、廊下を悠然と歩み去っていった。 「どうしたんだ」戸惑うという
にゃんこ [1,002] -
クレイジーキャット 15
俺は拳を強く握り、このお綺麗な顔に叩き込んでやりたい気持ちを押さえ込んでいた。 庄野は微笑んで、長い指をさりげなく俺の肩に強く食い込ませる。 獲物を捉えた獣みたいだ。その左手には結婚指輪がはめられていた。 俺は痛みに顔を歪めないよう細心の注意を払って呟いた。 「庄野先生、結婚してんですね」庄野は片眉を上げた。 それがどうした?ってわけだ。 「有名塾の社長の娘でね…金だけはある俗物さ。役には立ってく
にゃんこ [971] -
クレイジーキャット 14
「やあ、吉川琉聖君」俺はピタリ、と足をとめ振り返った。 庄野碧。 この学校にきてから早、一週間。 まるで前からずっといたかのように馴染み、それでいていつまでも新鮮な存在。相変わらず上品なスーツを着て、優雅に微笑している俺は眉間を寄せないよう意識して見返した。 「なんすか」庄野はゆっくり近づき、俺の肩に手をかけた。 「安東君と付き合ってるのかな?」さらっと発っせられた言葉「付き合ってますよ、友達です
にゃんこ [1,092] -
クレイジーキャット 13
「庄野碧先生、本当に凄い先生だよ」無垢な顔で、休み時間、興奮気味に飛び込んできた静留に俺は曖昧に頷いた。 碧(ミドリ)か、女みてーな名前。 内心悪態をつくも、その名が実は似合うことに余計に苛立った。 「もうクラスメイトの名前全部覚えてるし…優しいし…女子なんか完璧まいあがっちゃって」ふーん。 けどご当人は女子に興味ないんじゃないんすかね? 小学生だった連理を仕込んでた男。気持ちを弄んだ、それでも
にゃんこ [1,097] -
クレイジーキャット 12
まだ好きなわけ の質問をはぐらかされたこと、そして更にはぐらかされたことを知っていて受け入れたことに 俺は気づいてた。 ベッドに潜り込んで、目を閉じる。 静留。 この想いは永遠だ、とうそぶいた時、連理は言ったっけ。 永遠の想いなんてない と。 それは、誰に向かって言ったんだ。 俺? 自分? …アイツ? 産休に入る担任の代わりに…って静留の話を思い出す やり手、か。 確かにそれっぽい。 嫌みなくらい
にゃんこ [1,059] -
クレイジーキャット 11
「連理」ゆっくりと歩幅をゆるめて歩く連理。 普段と変わらない様子を装っているのだとしたら失敗だ。 身体中が緊張している。「アイツなんだろ…連理の…好きだった家庭教師」「…」黙ってる。 それは答えだ。 俺は妙に苛立ち…さらにアイツが嫌いになった。 完璧な大人。 あまりにも俺と違う人種。 生まれながらの勝ち組気質が全身から漂う男。 だから、嫌いなわけじゃない。 気づいたよ。 嫉妬だね。 連理にこんな顔
にゃんこ [1,100] -
クレイジーキャット 10
男と連理の間に、何か…言い知れない電磁波が通ったようにみえた。 俺は直感的に気づいた。 コイツだ。 コイツが…連理の…家庭教師だったやつだ。 女だと思っていた。 いや、連理はそう思わせていた。 けど、間違いない。 男は、今まで見たことがないくらい「洗練」されていた。 身長が高いやつにありがちながさつな動作は微塵もなく、超然としている。 それでいて、清潔さよりも…全身から色気が漂っていた。 なよなよ
にゃんこ [1,113] -
クレイジーキャット 9
今日の連理はおかしい。 お前なんか大嫌いだって言ってやろうかとも思ったけど…可愛さに免じてやる。 実際、俺もね、まあ色々あったわけで。 んで、色々世話にはなったわけだし…。「まだ帰ってないのかい?…下校時刻は過ぎたよ」後ろから声がしたとき、飛び上がるくらいビビって、俺は連理から体を離した。 振り返ると、見たことない男が立っていた。 連理が目に見えて青ざめた なんだ? 彼は、にっこり笑って下駄箱にそ
にゃんこ [1,051] -
クレイジーキャット 8
べったべたになった手を洗う連理の後ろを何にも言わずに横切った。 鞄、引っ掛けて玄関へ向かう。 後からすぐに連理が追いかけてきたのに気づいても、シカトした。 横に並ばれても、完全にシカトした。煮えくり返っていた。「琉聖!」「…いま、俺に触ったら殴るからな」「ごめん」ピタリと足を止めて連理を見返し…驚いた。 「なんでないてんの」連理が泣いてる。 なんで? 「ごめん、琉聖」いきなり抱き締められた。誰もい
にゃんこ [1,176]