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月夜の晩に 9

[1796]  にゃんこ  2010-06-04投稿
俺たちの関係がバレることはまずない。
相変わらず葉瑠先輩は女子に囲まれてるし俺は浮いている。

女の子らに見せている先輩の顔は「よそ行き」

綺麗で影がない。

俺に見せる顔には、時折言い知れない表情が混じる。奇妙な闇が覆う瞳。

何回か抱かれたあと、先輩に聞いた。

「なんで、そんな目をしてるんすか?」

先輩は(僕が驚いたことに)怯んで目を背けた。

再びこちらを見た先輩の目はいつもの悪戯な目だ。
「しようか」

誤魔化すようにもう一度抱かれて、快楽しかない一時を過ごす。

2人の関係に、快楽以外の何かを…俺は探し始めていたんだ。

いつのまにか。

それが苦しみの始まりだと薄々わかっていたのに。

月…。

先輩は満ちることのない新月だ。

謎めいていて、存在しているのに見えない…。

わからない。

俺には先輩の気持ちが何一つ解らなかった。

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