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月夜の晩に 11

[1726]  にゃんこ  2010-06-06投稿
一人きりの部室で、描きながらフッと筆をとめた。
先輩のオモチャになってから2ヶ月か。

こんなんでいいはずない…
俺ばっかり苦しくて、悩んで、戸惑って…。
不公平じゃないか。

唐突に訪れた苛立ちは溢れるくらいで、俺はパレットナイフを振り上げた。
目の前の絵に突き立てようとした時、強い力で手首を捕まれた。

「なんの真似だ」

冷たい声に振り向くと、無表情な先輩がいた。

「…離せよ」

荒々しく振りほどく。
イラつく…はきそうなくらいだ。

「どうした?」

ほんの少し、心配そうな声に苛立ちが煽られる。
触れようと伸ばした先輩の手を今度は弾くように叩いた。

「…触るな!」

先輩が、見つめている。
もう、ダメだ。

「なんで、あんたはいつもそうなんだよ?
フリなんかするな!
俺に構うな!俺に興味があるような…フリなんかすんじゃねえ!」

先輩が仮面みたいに俺を見ている。
言うべき言葉が出てこないのか…。

「頼むから構わないで。俺は今までの俺でいたいんだ
あんたのオモチャになるつもりはないんだよ」

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