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月夜の晩に 15

[2100]  にゃんこ  2010-06-08投稿
「お前ここんとこずうっとおかしかったよな」

野坂秋人に引き摺られるように保健室に連れてこられて、俺はぼんやり天井を見上げていた。

「そうか?」

秋人とは余り話したことはないけど、他の連中よりは部活が同じなだけに関わることは多かった。
俺と同じに寡黙で、俺とは全く違う、おっとりした優しさの感じられるヤツだ。
「お前、蠍座?」

「…は?」

秋人が小さく笑う。

「秘密主義だから」

俺も、笑った。
あれ以来、初めて笑えた。二週間ぶりかな…?
時間の感覚もわかんなくなってるらしい。

「…もっと…頼れば?」

秋人の意外な一言で、俺は崩壊してしまった。

堪えてたものが壊れて、流れ出てきた。

秋人は黙って、横に座っていてくれた。
声をあげて泣いていた間もいてくれた。

ベッドから体を起こして、膝を立てて泣いた。
シーツがビタビタになるまで泣いた。

泣きたかったんだ、とわからせてくれた秋人に感謝していた。

ひとしきり泣いて、泣いて…腫れた目で秋人をみたら「すげー顔だな」
なんて笑われた。

俺は…もう一度、笑うことができた。

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