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月夜の晩に 19

[1832]  にゃんこ  2010-06-13投稿
「先輩、出掛けるんじゃないんすか…」

閉じられた玄関、抱きすくめられた俺。

長い腕が回されて息が出来ないくらいの強さで締め付けられて。

「どうでもいいさ」

掠れた声。
欲情している時の先輩の声…。
冷たい唇が俺の唇にぶつかる。
濡れた舌が捩じ込まれる。
「っ…ま、って…」

「待たない。どれだけ待ったと思ってんだ」

先輩の指がいとおしげに俺のシャツに滑り込み、肌を探っていく。

「疲れるんじゃないの、俺のこと」

我ながら根に持つ性格。
先輩は首筋に舌を這わせながらクスリと笑った。

「疲れるの、コミで可愛いよ」

むっとしてみせようとしたのに、嬉しくて嬉しくて。それが恥ずかしいから目を閉じた…暗闇になると一層感じる。
全身包まれる。
先輩の息づかい、匂い、指…舌…。

ずっと溺れていたい。
ずっと感じていたい。

離したくない、一時でも自分から離れたことが信じられない。

「好き」

本当に小さく呟いた。

ドキドキした。
伝えることの喜びで満たされた。


世界が変わった気がした。

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