官能小説!(スマートフォン版)

ライアー 3

[882]  にゃんこ  2010-07-18投稿
「なんでそういう流れになんだよ、お前…バカ?」

沈黙のあとで、ようやく発された言葉がこれ。

相変わらず冷たい目であることに変わりはないけど、声に含まれていた、ゾッとするような毒は消えていた
「遊びたきゃ一人で遊べ」
軽い捨て台詞を浴びせて、教室から出ていくアキヒトを、僕は考えもなく追っていた。

謝らなくちゃ、という気持ちに押されていたんだろう…いや、アキヒトという人間に興味があっただけかもしれない。

待ってよ、と追っかける僕と胡散臭い目で振り返るアキヒト。

これが出逢いだ。

もし僕が後を追わなかったなら、運命は変わっていたんだろうか?

オレンジに輝く夏の日差しに映るあいつの背中を僕はまだ、鮮明に覚えている。

決して待ってはくれないくせに、僕がついてきているかどうかを確かめるあの目も。
振り返り、振り返り、確かめながらその両目は確かに望んでいたんじゃないか?
僕が追い付くことを。

そして、僕は走ったんだよ


この録でもないやつと友達になるために。


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