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ライアー 11

[861]  にゃんこ  2010-07-20投稿
ぼろきれだってここまでじゃない。

上半身裸で、壊れたオモチャみたいに放り出されていた。
ズタズタな襖の奥にアキヒトはいた。
こぜまい部屋の真ん中に。
僕は膝をずって、アキヒトのそばへ…一瞬死んでいるのかもしれないと考えて、固まった。

触れるのも躊躇われた。
血だらけ。
あざだらけ。
新しい血、こびりついた黒い血…ああ。

声もなく見下ろす僕に、アキヒトはゆっくり視線を合わせた。
その奇妙な表情には

なぜ? と
わかっただろ?

の二つの意味が滲んでいた
なぜ?の問いには

「友達だから」

わかっただろ?の問いには
「わかりたくない」

ね、アキヒト。

いまならこんな風に言える僕も、この時は言葉はなく泣きながら頷いただけだったね…?

「あいつは」

ひび割れた唇から出た。
「出てった」

ゆっくり、だが意外にもしなやかにアキヒトは起き上がった。

「いってえな…あのやろう…歯が折れたぜ」

「なんで?」

僕の声が、この部屋を切り裂いた。
甲高い、パニック寸前の声が空気を揺らした。

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