ライアー 27
「あんたがいけないのよ…あたしは、本気だったのに…利用するだけして…」
掠れた声で囁く影が、早川先生だと知ったのは随分あとだった。
このとき、僕にはその影が発した言葉は言葉として響かず、ただ、アキヒトの胸元に突き刺さるナイフを凝視していた。
どうなったんだろう。
どうなったんだっけ…?
僕の周りは騒然としていた
僕が救急車を呼んだらしい…覚えて、いないんだ。 ただ、ひたすらにアキヒトを支えていた。
暖かい体を。
引き離されたとき、ようやく声が…彼の名前を叫ぶ自分の声を聞いた気がする。
夢のような、非現実的な事態で…それでも僕は警察の聴取に淡々と答えた。
この時初めて早川先生があの直後にマンションから飛び降りていたことを知った
それさえ心に響かない。
駆けつけた母さんに支えられてアキヒトの運ばれた病院まで行った。
大きな病院。
手術中の赤いランプ。
ずっとずっと、その閉じられた扉を見ていた。
祈りもせず、見つめた。
こんな風に突然、失ってしまうはずはない。
こんな風に突然、終わりがくるはずない。
誰より幸せにならなきゃいけない奴だから。
掠れた声で囁く影が、早川先生だと知ったのは随分あとだった。
このとき、僕にはその影が発した言葉は言葉として響かず、ただ、アキヒトの胸元に突き刺さるナイフを凝視していた。
どうなったんだろう。
どうなったんだっけ…?
僕の周りは騒然としていた
僕が救急車を呼んだらしい…覚えて、いないんだ。 ただ、ひたすらにアキヒトを支えていた。
暖かい体を。
引き離されたとき、ようやく声が…彼の名前を叫ぶ自分の声を聞いた気がする。
夢のような、非現実的な事態で…それでも僕は警察の聴取に淡々と答えた。
この時初めて早川先生があの直後にマンションから飛び降りていたことを知った
それさえ心に響かない。
駆けつけた母さんに支えられてアキヒトの運ばれた病院まで行った。
大きな病院。
手術中の赤いランプ。
ずっとずっと、その閉じられた扉を見ていた。
祈りもせず、見つめた。
こんな風に突然、失ってしまうはずはない。
こんな風に突然、終わりがくるはずない。
誰より幸せにならなきゃいけない奴だから。
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