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妄、想なんです 12

[1266]  にゃんこ  2010-10-09投稿
「どういう意味?」

絡み付かれた腕に力がこもる…小早川自身の何か…柔らかな香りに尋常じゃないくらい高鳴る鼓動。

「ここでのことは全て君の頭のなかで起こった妄想…俺は関与してないし…ってこと。わかるよね?
君が何を言っても、世間は俺を指示するでしょ?」

ああ。

要は「秘密」ってことか。
元々話す相手なんていやしない。

小早川は素早い動作で正面玄関を鍵を使って開けた。
僕が唖然としているうちにさっさと引き入れてしまう
「…驚いた?
まだまだ、こんなもんじゃないよ」

にっこりする笑顔は邪悪なほど無垢。

こっち、と引っ張られてついたのは

多少ホコリを被ったロビーだ。
薄暗い…。豪華なソファなどがそのまま残されている
「廃墟って、魅力的だよね…ねえ」

語尾が掠れた。

小早川が僕をいきなり、目の前のソファに突き倒した
そして倒れた僕の腹にまたがって見下ろした。

「俺が、嫌い?」

とびきり嬉しそうに聞く。
僕は頷いた。

「なら…壊して。英士…して、何回も何回も、壊していいから」

いいながら、小早川はコートを剥ぐように脱いで床に放った。

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