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紺碧の空に星 1

[1933]  にゃんこ  2010-10-20投稿

春臣に何回も犯されたのに自分自身が穢れたと、感じたことはなかった。

それなのに血液という赤い液体にまみれた両手は熱くて、汚ならしかった。

倒れた母親を見下ろしているのは本当に僕?

春臣が、僕に近づいてきたことにも気づかなかった。両頬に手を添えられるまで気づかなかった。

「理央!」

カラン、と包丁が落ちた。
春臣が僕を引きずって手を洗わせた。

上着を脱がせて、春臣がそれを着た。

僕はそれをただ見ていた。ただ、受け入れてされていた。意味が解らなかった。
世界はモノクロ。

ただ、手にまといつく流した筈の血液だけに色がついてる…白い手に残る赤。
春臣は落ちた包丁を握って床に倒れたままの母親を仰向けにし、染みだしている血を両手になすりつけた。
「理央、時間がない…聞こえるな?
刺したのは俺だ。
一切、口をきくなよ?
約束だからな」


うるさいサイレンが鳴って…母親と僕は病院に。

春臣はパトカーに乗って。

僕の記憶は相変わらずモノクロ。


傷口の赤と、春臣の…最後のキスだけが


僕のなかのカラー。



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